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令和6年第2回3月楢葉町議会定例会町長施政方針説明要旨

公開日:2024年03月05日

<はじめに>

 はじめに、令和6年能登半島地震により、お亡くなりになった方々、ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。また、一日も早い復旧・復興に向けて尽力されている各自治体をはじめ、消防、警察、自衛隊、災害ボランティアの皆さまに深く敬意を表するところであります。先の町政報告でも申しましたが、町アンバサダーのキャンドル・ジュン氏が代表を務める一般社団法人ラブ・フォー・ニッポンと共同し、石川県能登町へ物資提供、炊き出しなどを行っております。私たちの経験上、被災地では刻一刻とそのニーズが変化し、それに合わせた支援が大変重要になってまいります。今後も、被災地に寄り添い、必要な支援を継続してまいります。

 あらためまして、令和6年第2回3月楢葉町議会定例会において、令和6年度楢葉町一般会計予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするにあたり、私の諸課題に関する施政の一端を申し述べさせていただきます。

 

<施政にあたっての基本的な考え方>

 まず、昨今の社会情勢に目を向けますと、新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり地域経済の回復や活性化が期待されたなか、国際情勢や円安に起因した物価上昇が、長らく続いたコロナ禍の影響に追い打ちをかけ、ここに来て、日経平均株価が最高値を更新する動きがあるものの、依然として町民の日常生活や経済活動は厳しい状況が続いております。これは、昨年度から続き、今なお続いていることも考えあわせますと、本町としてもさらに厳しい行財政運営が求められている現状であるといえます。一方、企業活動においては、製造業などで回復の兆しが見える業種もあることから、今後も的確に対策を講じながら、これらの動きが他業種に及ぶよう地域社会の構築に取り組んでまいります。
 さらに、帰還者等を含めた本町の居住者数でありますが、令和6年1月末日現在で約4,400人、率にしますと67%を超えてまいりました。とはいえ、震災と原発事故を起因とする「急激な人口減少」は、目下、最難関の課題と位置づけ、令和5年度には、地域活動拠点施設「まざらっせ」の開所をはじめ、事務事業の充実と強化に取り組んできたところであります。
 今後も、計画4年目を迎える第6次楢葉町勢振興計画のキャッチフレーズである「笑顔とチャレンジがあふれるまち ならは」が示す、「ふるさとの良さを活かした、しなやかなまちづくり」に基づき、課題への強い危機感を持ち、子育てや教育環境、そして医療・福祉環境の充実、ゆずやさつまいもを用いた特産品開発、地域での支え合いや繋がりの活性化、スポーツと健康増進事業の展開、多様なライフスタイルに対応した仕事の確保など、様々な分野に取り組んでまいります。さらには、外部からの移住・定住を推進しつつも、ならはの豊かな自然と伝統文化、地域性を生かした魅力あるソフト事業を積極的に展開し、あらゆる分野で「チャレンジ」を続けてまいります。

 

<令和6年度予算編成にあたって>

 以上を踏まえ、令和6年度における国・県の動向を踏まえた本町の基本的な方針を申し上げます。
 世界はいま、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発し、続く中東情勢の混迷によるエネルギー価格高騰の長期化、気候変動による自然災害の頻発・激甚化など、国際情勢の不確実性が高まっているとともに、生成AIをはじめとするデジタル技術の飛躍的な進化が生じるなどの大きな社会変化のただ中にあります。
 国内経済に眼を転じると、昨年12月に閣議決定された「令和6年度予算編成の基本方針」において、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあるとされています。くわえて、30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲にも触れ、経済の先行きに前向きな動きがあるとし、デフレから脱却できる千載一遇のチャンスを迎えていると分析しています。世界情勢の変化を推進力に変換し、持続的な成長、さらには「成長と分配の好循環」の実現を目指すとされており、それらの波及効果が地方経済にも及ぶよう願っているところであります。
 次に、福島県においては、令和6年度を第2期復興・創生期間の後半を迎える年として、総合計画に掲げる施策を着実に進め、県の復興と福島ならではの地方創生を力強く推進していく重要な年と位置付けております。県としては、度重なる自然災害からの復旧や原油価格・物価高騰への対応等、広範かつ多額の財政運営に一層配慮しながら、根拠に基づく政策立案を意識した予算編成を重視しております。
 このような国・県の状況の中、本町では社会保障関係経費の増加や新たな施設に要する維持管理費の増加などにより、財政の硬直化が懸念されており、その対策も急務となるなか、今後は、復興財源の確保が困難となっていく厳しい状況にあります。また、感染法上の位置付けが変更されたとはいえ、新型コロナウイルス感染症の状況も注視する必要があり、さらには、毎年のように頻発する自然災害への備えや原油価格・物価高騰への対応等について、相当な財政需要が見込まれるため、より一層厳しい財政見通しとなっております。以上の財政見通しに留意しつつ、令和6年度においては町勢振興計画・財政戦略のもと、第2期復興・創生期間の4か年目として、重点施策に集中的に取り組むことを最優先とし、限られた財源を有効かつ重点的に配分する予算編成を行うことといたしました。
 なお、厳しい財政状況の中で復興・創生を成し遂げるためには、復興基本方針を踏まえた遺漏なき財源確保はもとより、財政運営戦略や公共施設等総合管理計画を用いた行政マネジメントが必要となることから、今般の原油価格・物価高騰に留意したうえで、義務的経費を除いた経常的経費の削減を図るとともに、町民サービスの維持確保を図りつつ、ゼロベースからの事業縮減・廃止など、徹底した見直しに努めております。

<令和6年度主要事業の概要>

 以上、申し上げたことを踏まえ編成した令和6年度予算案について、主な事業や取組内容を第6次楢葉町勢振興計画の基本目標の区分に沿ってご説明いたします。

 はじめに、「基本目標1 町民が主体的に取り組む、参加のまち」であります。  震災後大きく変化した地域コミュニティについて、各行政区活動の推進を支援しながら、令和4年度に発足した「ふるさと福島楢葉会」をさらに充実させ、町民同士の繋がりの強化に努めます。

 また移住・定住促進や交流人口拡大に係る事業については、例年以上に各種イベントや様々な施策を展開しながら町の魅力発信に努め、「みんなの交流館ならはキャンバス」や「まざらっせ」を核として、地域住民と転入者の関わりをより一層深めつつ、各種補助金等を充実させ、若者や子育て世代が住みやすい、住みたくなるまちづくりを展開してまいります。
 さらに、地域おこし協力隊についても過去最大規模の予算を確保し、町の魅力向上に従事していただくとともに、令和5年度に発足した特定地域づくり事業協働組合を中心に、雇用の場の創出を図ってまいります。

 続いて、「基本目標2 学びを楽しみ、「ちから」と豊かさにつなげるまち」であります。
 本町の重点施策の一つでもあります教育については、これまでも実施してきたキャリア教育やICTを取り入れた最先端の教育等、町独自の取組を継続的に展開しながら、地域学校協働活動や ならはっ子こども教室等もより充実させることで、家庭・地域等との連携のもと、児童の健全育成に努めてまいります。
 また、令和6年度にはJFAアカデミーの女子生徒が帰還することに加え、町内に福島県立ふたば支援学校が開校することから、学校間での連携だけではなく、従来から取り組んでいる農業と福祉の連携等、様々な施策を展開しながら、日本一の教育を目指してまいります。
 さらに、生涯学習活動についても、地域史研究会や楢葉市民大学等の継続に加え、震災後初めて再開した楢葉町芸能発表会等、住民主体の活動を支援しつつ、令和5年度に開館した東京大学総合研究博物館との連携博物館「大地とまちのタイムライン」を中心に、生涯学習の振興を図ります。

 続いて、「基本目標3 誰もが元気に、はつらつと暮らすまち」であります。
 健康増進とスポーツの振興も重点施策の一つであり、これまでも行ってきた元気アップ教室や薬剤師による健康づくり事業等に加え、令和6年度は地域おこし協力隊を活用し、理学療法士や管理栄養士といった健康づくりの専門家による新たな健康増進施策も実施してまいります。
 また令和5年度に引き続き、楢葉町をホームタウンとするプロサッカーチームいわきFCと連携し、本町のPRや地域活性化を図りながら、楢葉町スポーツ協会を中心に、町内でのスポーツ振興や合宿誘致を推進してまいります。
 さらに、令和6年度には陸上競技場の改修工事が完了し、併せてインターハイ全国大会男子サッカー競技が開催されることから、町のスポーツ振興における弾みの年となると考えております。

続いて、「基本目標4 助け合い支え合う、みんなにやさしいまち」であります。
 本町では、こどもから高齢者、障がいの有る無しに関わらず、誰もが生きがいを持って自分らしく暮らしていくための支え合いの地域づくりを目指しており、令和6年度で10年目を迎える ならはコミュニティコレクション「ならコレ」を中心に、地域共生社会の実現を目指します。
 また震災で途絶えていたファミリーサポート事業を復活させ、地域内における町民同士の助け合いができる体制の構築に取り組みながら、子育て世代包括支援センターや放課後児童クラブを中心に、保護者の働きやすい環境づくりにも努め、出産祝金や出産・子育て応援ギフト交付金の給付等により、さらなる子育て環境の充実・支援に努めてまいります。

 続いて、「基本目標5 地域資源・人材が輝く、にぎわいのまち」であります。
 重点施策の一つである農業の再生については、ほ場整備事業や森林再生事業、営農再開支援事業等、各種施策を引き続き推進しながら、令和5年度に供用開始された特産品開発センターを中心に、6次化推進や農林水産物PR、甘藷やゆずの振興に積極的に取り組んでまいります。
 また町内の事業者が発起人となり設立を目指している廃炉組合を核として、廃炉関連産業への地元事業者参入を支援しながら、波倉地区の新産業エリア整備事業にも本格的に着手し、新規立地企業の受け皿や新たな雇用創出にも努めてまいります。
 さらに、サマーフェスティバルや秋空散策あるこう会といった恒例事業に加え、木戸ダム祭や収穫祭といった事業も継続しつつ、これまでのツール・ド・ならは、については ならはサイクルツーリングと形を変えながら、より一層交流人口の拡大に努めます。

 続いて、「基本目標6 暮らしやすく、安全・安心なまち」であります。
 まず、令和5年度からの継続事業となる、健康づくりや観光、防災など様々な機能を備えた多機能拠点の整備事業が本格化しますが、当地域及び総合グラウンド敷地内に防災倉庫を新たに建築することで、災害に強いまちを実現します。
 次に、小学校の通学路である延木戸・袖山川原線や月山寺後・菖蒲平線、観光施設へのアクセス道路である中満・天神岬線等の整備を計画的に進めながら、甘藷貯蔵施設周辺の町道についても大規模な修繕工事を実施していきます。
 またお買い物バスや おでかけタクシー、シェアサイクルといった多様な交通手段を確保することで、町内移動の利便性向上に継続的に取り組んでまいります。
 さらに、環境問題への取組として、ゼロカーボンやSDGs推進にも引き続き積極的に取り組んでまいりますが、特に、リサイクルハウスの売払収入を積み立てることを目的として令和5年度に創設した「みんなの資源循環基金」は順調に推移しており、これらを背景に、町民のさらなる意識醸成に繋げていきたいと考えております。
 また、震災後継続して行っている特別警戒隊によるパトロールや防犯カメラ事業に加え、令和5年度に新たに開始した家庭用防犯カメラ等設置補助金の活用も推進しながら、町民の安全・安心な暮らしの確保に努めてまいります。

 町勢振興計画の基本区分に則った主な事業は以上となりますが、これ以外にも「ならはチャレンジプロジェクト」として様々な事業に着手しつつ、町民・事業者に寄り添った町政運営となるよう取り組んでまいります。

 

<結びに>

 東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故から、13年。私が、平成24年4月に町民の皆さまからの負託をいただいてから12年が過ぎようとしております。
 振り返りますと、町政の舵取りを担う重責をあらためて実感しているところでありますが、その時、その時の決断の重さとそれが将来に大きく関わるという点において、復旧・復興期の町政運営は、とても困難なものがあったと感じております。
 そして、現在ですが、かつての、復旧・復興事業が、最初は途方もないことに感じたことなど信じられないほど、復興の種が大きく芽吹き、花を咲かせております。しかしながら、復興が進みようやく実を結びはじめた一方、日本の総人口が減少するなか特に本町では、震災と原発事故に起因する「急激な人口減少」が大きな課題となっております。それら諸問題に対処するため、昨年4月にオープンした地域活動拠点施設「まざらっせ」や移住相談窓口「コドウ」、「まかない付きシェアハウス」などの施設整備や「ならはアンバサダー制度 や「ふるさと福島楢葉会 の創設など、危機意識をもって移住・定住施策を推進してまいりました。
 とは申せ、移住・定住施策は、言わば日本全国どの自治体でも取り組んでおり、その競争に打ち勝つには相当斬新なアイデアなどが求められることは言うまでもありません。幸いにも事業の多くは順調に推移しておりますが、一定の形が見えてくるのはまだまだ先のことと考えております。
 さて、昨年4月、震災後長らく休館していた町歴史資料館が、東京大学総合研究博物館のご協力をいただき、再開にこぎつけることができました。ある移住された方が、「大地とまちのタイムライン」を見て、「震災と原発事故という被災地一色だった印象の本町が、なんと豊かで深い歴史を有しているのか との感想を漏らされました。「何もないところ」よく耳にする言葉ですし、私たち自身、安易に使う言葉かもしれませんが、仮にそうだとすれば、移住したいと思う方はもっと少ないと思います。答えは、悩み、もがき続けた者に与えられるとも申しますが、移住・定住、まちづくりのヒントは、「足もと」にあることに思いいたし、あらためて、目先のことにとらわれず、地に足のついた行政運営を推進する思いを強くしております。
 さて、令和6年度は、インターハイ全国大会男子サッカー競技固定開催決定、JFAアカデミー福島女子の帰還、さらにはJエリアと道の駅を結ぶ区域の開発など、さらなる関係人口の増加が見込まれる事業が具体化、本格化します。これまで、「復興 の二文字をひたすら追い続けてきた本町にとって、来年度は、新たなステージに入るといっても過言ではありません。情勢を機敏に察知し、新たな町民と震災前から住む町民とが互いに手を携え、「双方の幸福度の向上」を生み出すまちづくりを推進する段階と認識しております。
 結びに、議会議員の皆様、そして町民の皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針とさせていただきます。

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