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令和5年第2回3月楢葉町議会定例会町長施政方針説明要旨

公開日:2023年03月07日

<はじめに>

 令和5年第2回3月楢葉町議会定例会が開催されるにあたり、行財政推進にあたって施策の一端についてご説明いたしますが、それに先立ち、職員不祥事の再発防止について申し上げます。

 昨年も相次いで職員の不祥事が発生しましたことは、町民の皆さんの町政に対する信頼を損なう事態であると認識しております。信頼を回復するために、職員一人ひとりが公務員としての原点に立ちかえり、しっかりと仕事をしていくことが何よりも重要であると考えております。今後とも、コンプライアンス研修などを通じて、倫理意識のさらなる浸透を図るとともに、風通しのよい職場づくりを進め、職員一丸となって不祥事根絶に全力を尽くしてまいります。

 続いて、私の諸課題に関する施政の一端を申し述べさせていただきます。
 昨年を振り返りますと、令和4年6月には、一般社団法人ならはみらいの「コドウ」がオープンし、同時に移住相談窓口も設置したことにより、施策の充実が図られております。また、これから移住を考えている方の拠点として、まかない付きシェアハウスもオープンし、地域住民との交流拠点として活用されております。さらには、旧公民館分館を地域活動拠点施設として整備し、移住者と町民との交流を促進させる考えであります。  
 また、11月には、主に首都圏にお住まいの町出身者などで構成する「ふるさと福島楢葉会」を発足させました。楢葉の魅力を積極的に発信していただき、今後も関係人口、交流人口の増加から移住・定住人口の増加等につなげてまいります。  

 以上のように、「笑顔とチャレンジがあふれるまち」を将来像とする第6次町勢振興計画の2年目となる令和4年度も「ハード」から「ソフト」へ軸足を換え、着実に推進してまいりました。ですが、新型コロナウイルス感染症に加え、ウクライナ情勢に端を発した物価高騰の波が、震災12年目に入りソフト事業を推進しはじめた本町にとって、決して少なくない影響を与え、今なお続いていることも考えあわせますと、さらに厳しい行財政運営が求められている現状であるといえます。

 

<令和5年度予算編成にあたって>

 以上を踏まえ、令和5年度における国・県の動向を踏まえた本町の基本的な方針を申し上げます。

 約3年前に発生した新型コロナウイルス感染症により、戦後最悪の落ち込みを経験した世界経済は、再び前に向かって動き出しているとはいえ、ウクライナ情勢の影響がなお影を落としていることは間違いなく、さらにはカーボンニュートラルの実現、デジタル化やデータ活用の急速な進展、国際的な取引関係や国際秩序の新たな動きなどは、もはや後戻りすることないだろうとみられています。

 我が国に眼を転じると、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しが続いているとされています。しかし、世界情勢同様、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー・食料価格の高騰、欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退懸念など、厳しさが増していると分析されていますが、昨年10月の政府の政策態度としては、「足もとの物価高への対応に全力をもってあたり、日本経済を必ず再生させる。物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革を重点分野とし、経済情勢の変化に切れ目なく対応する」との方針が示されております。

 次に、福島県においては、総合計画の2年目として、一つひとつの取組をシンカさせ、復興と地方創生をさらに加速していく重要な年と位置付けており、地震や大雨等の自然災害、新型コロナウイルス感染症、原油価格・物価高騰など、広範かつ膨大な財政需要が生じており、持続可能な財政運営の重要性が一段と増しているとしております。

 このような国・県の状況の中、本町では社会保障関係経費の増加や新たな施設に要する維持管理費の増加などにより、財政の硬直化が深刻化しており、その対策も急務となっていることに加え、震災、原発事故、コロナ禍を起因とした税収などの減少により、引き続き自主財源の確保が厳しい状況にあります。以上の財政見通しに留意しつつ、令和5年度においては新たな復興・財政両戦略のもと、第2期復興・創生期間の3か年目として重点施策に集中的に取り組むことを最優先とし、「新生ならは」実現のために必要な施策に、限られた財源を有効かつ重点的に配分する予算編成を行うことといたしました。

 なお、厳しい財政状況の中で復興・創生を成し遂げるためには、復興基本方針を踏まえた遺漏なき財源確保はもとより、財政運営戦略や公共施設等総合管理計画を用いた行政マネジメントが必要となることから、義務的経費を除いた経常的経費の削減を図るとともに、震災以前からの通常事業については、町民サービスの維持確保を図りつつ、ゼロベースからの事業縮減・廃止など、徹底した見直しに努めました。

 

<令和5年度主要事業の概要>

 以上、申し上げたことを踏まえ編成した令和5年度予算案について、主な事業や取組内容を第6次楢葉町勢振興計画の基本目標の区分に沿ってご説明いたします。

 はじめに、「基本目標1 町民が主体的に取り組む、参加のまち」であります。 震災後大きく変化した地域コミュニティについて、活動の活性化を図りながら、令和4年度はコロナ禍で断念した「町民号事業」等を行うことで町民同士のつながりを維持いたします。あわせて、昨年11月に発足した「ふるさと福島楢葉会」についても充実させてまいります。
 移住・定住促進に係る事業にはさらに力を入れ、運営が開始される地域活動拠点施設を活用しながら、空き家物件の改修補助金や移住者向けの家賃補助金等の補助制度を充実しつつ、若者や子育て世代が住みやすい、住みたくなるまちづくりを展開してまいります。  さらに、地域おこし協力隊についても学生のインターンとしての採用や、民間企業の社員を地域活性化起業人として地域の魅力向上に従事していただくとともに、新たに発足した特定地域づくり事業協同組合を中心に、雇用の場の創出を図ってまいります。  

 続いて、「基本目標2 学びを楽しみ、「ちから」と豊かさにつなげるまち」であります。  
 本町の重点施策の一つでもあります教育については、これまでも実施しているキャリア教育を継続するとともに、放課後・長期休暇等学習支援、ICTを取り入れた最先端の教育等、町独自の取組を継続的に展開してまいります。  また、楢葉小学校として2年目を迎えることから学校を軌道に乗せ、同時期に立ち上げた地域学校協働活動とともに、改めて、日本一の教育を目指す場として魅力ある教育となるよう努めてまいります。  
 さらに、生涯学習活動の活性化を図りながら、文化財の保護・調査や楢葉市民大学等を継続しつつ、町と東京大学総合研究博物館との連携博物館「大地とまちのタイムライン」の運営を開始いたします。  

 続いて、「基本目標3 誰もが元気に、はつらつと暮らすまち」であります。健康増進とスポーツの振興も重点施策の一つであり、これまでも行ってきた元気アップ教室、ウォーキング事業等を継続しながら、心と身体の健康づくりに取り組んでまいります。  
 また楢葉町スポーツ協会内に設立したスポーツコミッションにより、引き続き、スポーツを通じた地域振興を推進してまいります。あわせて、令和6年度から固定開催が決定しているインターハイ全国大会男子サッカー競技や同年に予定されているJFAアカデミー福島女子の町内での再開を好機ととらえ、陸上競技場の改修も行います。  

 続いて、「基本目標4 助け合い支え合う、みんなにやさしいまち」であります。  
 ここでは町民全員が参画する「地域共生社会」の実現を目指し、保健福祉の各計画推進や、地域包括ケアシステムの深化・推進を図りながら、男女共同参画の推進にも取り組んでまいります。  
 また安心して出産・子育てできる社会環境の構築として、子育て世代包括支援センターを中心に子育て世帯を支援しながら、放課後児童クラブ等も充実させ、保護者の働きやすい環境づくり及び放課後児童の健全育成を推進してまいります。  
 さらに従前の出産祝金や臨時特別出産祝金に加え、出産・子育て応援交付金を給付することで、さらなる子育て環境の充実、支援に努めてまいります。  

 続いて、「基本目標5 地域資源・人材が輝く、にぎわいのまち」であります。  
 重点施策3本柱の一つである農業の再生については、森林再生事業や営農再開に向けた取組を引き続き推進してまいりますが、令和5年度は新たに農林水産物処理加工施設の運営を開始し、6次化を推進しながら、まちの基幹産業である農業の更なる活性化を図ってまいります。
 また、廃炉推進楢葉・富岡協議会においては、廃炉事業の地元受注に向けて本格的に動き出すことになり、地元経済の活性化につながるものと期待しております。  
 さらに、これまでもご好評頂いているプレミアム付き商品券事業を実施し、暮らしを豊かにする商業の活性化を進めてまいります。  
 そして、サマーフェスティバルや秋空散策あるこう会といった事業も継続しつつ、昨年はじめて開催したツール・ド・ならはについても定着化に向け実施してまいります。さらに昨夏12年ぶりに再開した岩沢海水浴場についても、さらなる誘客につながるよう指定管理者とともに一層の活用を図ってまいります。  

 続いて、「基本目標6 暮らしやすく、安全・安心なまち」であります。  
 まず、健康づくりや観光、防災などの様々な機能を備えた多機能拠点や、道の駅ならは からJヴィレッジまでのアクセス道路の整備を行う多機能拠点整備事業に着手します。  
 次に、小学校の通学路安全確保として延木戸・袖山川原線の道路改良や月山寺後・菖蒲平線の調査設計を行うことに加え、観光施設へのアクセスとして重要路線である中満・天神岬線の道路改良を行う等、各種補助金を活用しながら計画的に整備を進めてまいります。  
 また環境問題への取組促進として、リサイクルハウスの活用や町民による環境美化活動の推進を図りながら、SDGs推進のための取組も継続します。令和5年度は、リサイクルハウスの売払収入を基に、「みんなの資源循環基金」の創設を予定しており、町民のさらなる意識醸成につなげたいと考えております。  
 さらに震災後継続して行っている特別警戒隊によるパトロールや防犯カメラ事業も引き続き行いながら、最近とくに凶悪化している犯罪への抑止としても充実させ、町民の安全・安心な暮らしの確保に努めてまいります。  

 町勢振興計画の基本区分に則った主な事業は以上となりますが、これ以外にも「ならはチャレンジプロジェクト」として様々な事業に着手しつつ、町民・事業者に寄り添った町政運営となるよう取り組んでまいります。

<結びに>  

 東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故から、12年が過ぎようとしております。感覚的なものかもしれませんが、現在のコロナ禍や国内外の社会情勢の大きな変化もあり、東日本大震災と原発事故については、触れられる機会が少なくなっていると考えております。しかし、今なお本町の復興の歩みは、多くの方々の支援によって支えられている側面があります。今年度も昨年度に続き、明治大学や日本工業大学の学生が、フィールドワークを行い、移住定住施策にもつながる力強い貴重な提言を発表いただきました。このことは、若者が一方的に支援をするという図式から一歩進んで、ここ楢葉町で学生が学びを展開することであり双方に有益な仕組みとなっていることをたいへんうれしく感じています。  
 同時に、時間が経つほど、行政として忘れてはならないことがあると考えております。とくに、震災の伝承については、防災意識の醸成も含め、震災を知らない世代が増えてくることもあわせ、継続して取り組む必要があると考えております。そういった意味もあって、昨年、3月11日を「ならは防災と伝承の日」に制定し、町民一人ひとりの防災意識を高めるための取組みの推進を図っております。  
 いよいよ、少しずつではありますが町全体が新たなステージ、段階に至っていると考えております。ハード面の整備からソフト事業への移行、移住・定住施策についても、もっと進んで新たな町民と震災前から住む町民が互いに手を携え、さらに新しい「新生ならは を生み出し、真の復興を成し遂げていくことに邁進したいと考えております。
 あらためまして、議会議員の皆様、そして町民の皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和5年度の施政方針とさせていただきます。 

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