メニューを飛ばして本文へ

楢葉町

緊急・災害情報

組織別に探す

令和3年第3回3月楢葉町議会定例会町長施政方針説明要旨

公開日:2021年03月08日

 東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故から10年の月日が過ぎようとしています。
 この10年の日々は、まさに前例のない行政運営の連続であり、苦難とともにありました。

 一時は、町の接続さえも危ぶまれるような異次元ともいえる厳しい状況も経験いたしましたが、避難指示の解除を契機とし町の復旧・復興 は 着実に進み、発災から 10年の時を 経て、楢葉町は 新たな復興のステージを迎えようとしております。
 このような状況に至ることができましたことも 、議員の皆様をはじめ、町民の皆様、国や県その他数多くの関係者のご理解とご支援、そして職員の努力に よるものと、それぞれに 深く 感謝するものであります。

 昨年を振り返りますと、多くの方から切望されていた「ならは薬局」の開局を皮切りに「道の駅ならは物産館」「甘藷貯蔵施設」の整備、さらには「竜田駅 東側整備事業 」によるJR竜田駅の「橋上駅化」など著しい発展を遂げた1年でありました。
 一方、中国武漢において初の感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は、世界中で猛威を振るい日本国においても爆発的に感染が拡大し「東京2020オリンピック ・パラリンピック」の開催延期をはじめとして社会経済活動 の低迷に拍車をかけ、医療におきましても、一時は医療提供体制の崩壊が危惧される状況に陥りました。
 本町においても様々な事業・イベントが縮小・中止されたことに加え、初の感染者が確認されるなど当地域の社会経済活動にも悪影響を呈しており、今後も予断を許さない状況となっております。しかしながら、このような状況であるからこそ、まずは数々の苦難を乗り越えてきた本町が東日本大震災からの復興と新型コロナウイルス感染症に負けない姿を聖火リレーにおいて示すことで、これまでご支援いただいた方々や現下において困憊している国内外の方々に元気と勇気を発信できればと考えているところであります。

 さて、全国的に地方自治体を取り巻く課題は、例外なく複雑、高度、多様化しており、各自治体とも厳しい行財政運営が求められているところであります。
 これらを踏まえ、令和3年度における国・県の動向を踏まえた本町の基本的な方針を申し上げます。
 まず、我が国経済は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」により一時はバブル期以来の力強さを取り戻しつつあるように見受けられましたが、現下の新型コロナウイルス感染症の影響によって厳しい状況に陥っており、先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種施策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されておりますが、経済の水準は以前コロナ前を下回っており、感染症が内外経済を下振れさせるリスクや金融資本市場の変動等の影響を注視しなければならない状況となっております。
 このような中、国は国・地方の債務残高がGDPの2倍を超えて膨らむ見込みであるなど、引き続き、厳しい状況にある中で、「経済あっての財政運営と改革の基本方針2020」に基づき、経済・財政一体改革を推進することとし、二度とデフレに戻ることがないよう、デフレ脱却と経済再生の道筋を確かなものとしつつ、歳出・歳入両面からの改革を推進するために、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推し進め、地方においても「経済財政運営と改革の基本方針2020」を踏まえて一般財源の総額を確保しつつ、国の取組と基調を合わせた徹底した見直しを進めるとしています。
 次に、福島県においては、第2期復興・創生期間においても引き続き力強い復興と福島ならではの地方創生を更に前に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない状況においても、感染症の拡大防止と社会・経済の再生との両立に向けた対策や防災力の強化など国の動きを踏まえた切れ目のない対策が必要であることから広範囲かつ膨大な財政需要が見込まれるとされております。
 歳入においては、感染症による地域経済への影響により法人事業税や地方消費税を中心に大幅な減少が見込まれるとともに、地方譲与税についても、連動する法人事業部の減収などにより相当程度の減少が見込まれ、地方交付税を始めとした地方財政対策など国の動向を注視しつつ財源確保の取組が必要とされており、歳出においては、行政のデジタル化や新しい生活様式の定着に向けた取り組みなどを踏まえ、既存事業をゼロベースで総点検し、組替え・再構築するなど、例年以上にスクラップ・アンド・ビルドを徹底するとしており厳しい財政見通しを示しております。
 このような国・県の状況の中、本町では社会保障関係経費の増加や新たな施設に要する維持管理費の増加などにより、財政の硬直化が深刻化しており、その対策も急務となっていることに加え、震災、原発事故、コロナ禍を起因とした税収などの減収により、引き続き自主財源の確保が厳しい状況にあります。
 このような財政見通しに留意しつつ、令和3年度においては新たな復興・財政両戦略のもと、第2期復興・創生期間の初年度として重点施策に集中的に取り組むことを最優先とし、「新生ならは」実現のために必要な施策に、限られた財源を有効かつ重点的に配分する予算編成を行うことといたしました。
 また、当該、施策の加速化を図るため、所定の要件を満たした部署に対し「新生ならは創造枠」としてインセンティブ予算を配分する予算編成といたしました。
 なお、厳しい財政状況の中で復興・創生を成し遂げるためには、復興基本方針を踏まえた遺漏なき財源確保はもとより、財政運営戦略や公共施設等総合管理計画を用いた行政マネジメントが必要となることから、義務的経費を除いた経常的経費の削減を図るとともに、震災以前からの通常事業については、町民サービスの維持確保を図りつつ、ゼロベースからの事業縮減・廃止など、徹底した見直しに努めました。

 以上、申し上げたことを踏まえ編成した令和3年度予算案において取り組む主要な事業についてご説明いたします。

 まず、国・県支出金による主要事業でありますが、福島再生加速化交付金により、竜田駅周辺整備事業、ほ場整備事業、農業用用排水路維持管理事業、竜田駅東側エリア整備事業FS調査業務、そして、将来を見据えて小学校改修工事、グラウンド改修工事を実施してまいります。
 次に、地域における多面的な機能の拠点化を図るため避難地域復興拠点推進交付金、みらいを創る市町村等支援事業助成金等を活用し、多機能拠点整備事業を実施いたします。
 次に、地域の活力の再生に関する取り組みといたしまして、地方創生推進交付金を活用し移住・定住促進事業、スポーツコミッション事業を実施してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症による雇用・就業支援、経営支援を行うため、地方創生臨時交付金により、各種支援助成事業を実施いたします。
 次に、社会資本整備総合交付金により、橋りょう維持事業、町道各路線の道路改良事業を実施してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症にかかる円滑なワクチン接種と接種体制の構築を進めるための事業を、新型コロナウイルスワクチン対策費負担金及び新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業補助金を活用し実施いたしますす。
 次に、放課後児童健全育成事業の強化を目的として、放課後児童クラブ整備事業補助金により放課後児童クラブ施設整備事業を実施してまいります。
 次に、電源立地地域対策交付金により町道代・野尻線道路改良事業、町道八石・小田前線道路改良事業を実施いたします。
 次に、原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金は将来の財政負担を考え、公共用施設機能維持運営基金に積み立てることとしております。
 次に、基金繰入金による事業として、特定廃棄物埋立処分事業地域振興交付金基金繰入金により、特定地域復興再生事業、Jヴィレッジ周辺整備事業、また、教育財産の施設整備といたしまして、博物館展示物設計製作業務、コミュニティセンター改修工事を実施するとともに、町内事業者の廃炉産業への参入促進を図るため東日本大震災及び原子力災害復興基金繰入金により、新産業創出事業を実施してまいります。

 このように、各種交付金、補助金及び基金繰入金等を活用し、今後10年のまちの将来像を思い描き着実に前進する施策を進めてまいりますが、これまで同様、引き続き基幹となる「教育の充実」、「農業の再生」、「健康増進とスポーツの振興」の各種施策においても積極的に取り組んでまいります。

 楢葉町は、東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故から、これまで様々な取り組みを進め、経験したことのない困難や苦悩を乗り越え、この10年、後につづく近隣自治体の道標となるよう復興のフロントランナーとして全力で走り続けてまいりました。

 それらの評価は歴史に委ねることとなりますが、先の楢葉町復興推進委員会における復興計画の進捗評価におきましては、復興計画の9割以上の項目において計画どおりの進捗をみるとの評価を頂いており、「地震・津波災害と原子力災害を克服し、より健康で暮らしやすい、新しい楢葉の礎をつくる」とした復興の目標については 概ね達成することができたものとの思いを抱いているところであります。
 その一方で、社会が抱える少子化及び超高齢化による人口の減少や生産人口の低迷など、依然として社会全体において解決しなければならない課題が残されていることも厳然とした事実であり、それに加え引き続き「新生ならは」の創造に取り組むことは至難の業であ ります。
 しかしながらそのような状況であるからこそ、強い使命感と強いリーダーシップ、そして複眼的視点をもって、「まちの復興」「ひとの復興」を成し遂げ、先人から引き継がれて きた本町を責任をもって次世代に引き継ぐことができるよう、全力を傾注し、本町行財政を運営してまいります。

 そのためにも、議会議員の皆様、そして町民の皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和3年度の施政方針とさせていただきます。

このページに関するお問い合わせ先

総務課

〒979-0696 福島県双葉郡楢葉町大字北田字鐘突堂5-6
電話:0240-23-6100

お問い合わせ