メニューを飛ばして本文へ

楢葉町

緊急・災害情報

組織別に探す

平成28年第3回3月楢葉町議会定例会町長施政方針説明要旨

公開日:2016年03月07日

平成28年3月7日

 平成28年第3回3月楢葉町議会定例会にあたり、各議案の審議に先立ちまして、私の町行財政運営に当たっての施策の一端を申し述べます。

 3月11日をもって、あの東日本大震災及び原発事故から5年が経過します。この5年という節目を、ここ楢葉町において迎えることができるのも、本日ご参会の議会議員の皆様を始め、町民の皆様方のご理解と、国や県をはじめ復興に携わっていただいた関係者の皆様、さらに国内外から多数のご支援をいただいた方々のお力添えの賜物であると考えております。すべての関係者の皆様にまずは心より御礼を申し上げます。
 振り返りますと、さまざまな課題を克服した結果、昨年4月から帰還のための準備宿泊が始まり、およそ4年半にも及ぶ避難指示が9月5日をもって解除され、楢葉町は大きな転換期を迎えることとなりました。
 避難指示の解除に合わせ、生活環境の整備が急ピッチで進められ、今年2月には待望の県立診療所が開所し、県立医科大学から派遣される専門医による診療が始まり、医療環境は格段に向上しました。また、介護、福祉の環境においても、昨年11月にデイサービスセンターやまゆり荘が再開し、すでに町に戻られ、健康的に楢葉で暮らしていこうという高齢者の方々による利用がはじまっております。
 新生ならはプロジェクトとして位置づけている竜田駅東側開発及びコンパクトタウンにおきましても、相次いで用地造成工事に着手し、まさにこれから新たな街づくりが始まっていく状況となりました。
 また、福島イノベーション・コースト構想の中核をなす、最先端のロボット産業の足がかりとなるJAEA楢葉遠隔技術開発センター(モックアップ試験施設)が昨年10月に開所し、廃炉関連に限らず、世界中のロボット関連企業や研究機関からの注目を集めております。さらに、あらたな企業の進出に向けた立地協定の締結や事業用地の整備も計画どおり進行しており、竜田駅東側へはルートインホテルの進出も決定するなど、楢葉町の産業の再生も軌道に乗りつつあるところであります。
 また、町民の憩いの場であり、町の観光施設として重要な位置づけであるサイクリングターミナル及びしおかぜ荘の一般営業が昨年9月に再開され、太平洋を一望できる露天風呂や新メニューがラインナップされたレストランは、町民だけでなく、町外の利用者からも大変好評をいただいております。また、双葉郡の復興のシンボルとなるJヴィレッジが、平成30年度に再開されることに加え、2020東京オリンピックにおけるサッカー男女日本代表のキャンプ地として決定するなど、交流人口の拡大と風評払拭に向けた明るい話題が次々と決定し、町を取り巻く環境は1年前とは大きく様変わりいたしました。
 しかしながら、避難指示解除後に町内で生活を再開された町民の数は決して多くはありません。これは、長期にわたる避難生活により、仕事や学校、通院などの様々な要因が複雑に絡み合っていることがあげられます。また、住宅のリフォームや新築などが思うように進んでいないことや、家屋解体の遅れなどもその要因の一つであると考えております。その中には、町で対応するべき災害公営住宅の建設や町営住宅の修繕が現時点では整っていないことも十分に踏まえ、住宅環境の整備は早急に取り組んでいかなければならない課題であると考えております。
 一方で、除染廃棄物仮置場の解消の道筋や、指定廃棄物の管理型処分場の受け入れなど、町だけでは解決できない課題も山積をしているところであります。また、町民のふるさとへの思いや絆は、年月が経過すればするほど薄れていくことも危惧されるなか、仮設・借上げ住宅の供与期間の終期が近い将来訪れる事態に備え、いかに町民の皆様に生活を再建していただき、自立した生活を取り戻していただけるか、が重要な課題になってくると考えております。そのためには、この1、2年の取り組みが町の将来を大きく左右する、まさに正念場の年であると考えております。
 政府は、平成28年度からの5年間を「復興・創生期間」と位置づけ、復旧のためのハード整備から、自立の促進へ政策軸を転換する新たなステージへと移行することを明確にいたしました。福島の原発災害からの復興に対しては、政府としても最後まで責任を持って取り組むことが明言されておりますが、これまでのような財源の確保は難しく、また事業内容についても厳しく精査がされていくものと予想しております。
 また、町の財政状況を見ますと、税収等の自主財源につきましては、これまで国からの補填措置がなされておりましたが、避難指示解除後はその措置が縮小していくこととなる一方、被災された町民の生活再建を円滑に図るための配慮を行う必要があることから、当面は減免等による措置を講じる必要があり、自主財源の確保が難しくなるものと考えております。従いまして、町が実施する事業の必要性をゼロベースからの見直しを徹底したうえで、町民の帰町意欲を促進するための生活環境の改善に資する事業、町民の生活再建と自立に寄与する事業への選択と集中を徹底し、国からの交付金・補助金などの活用を最大限に図りながらこの正念場を乗り切っていかなくてはならないものと考えております。
 いずれにしましても、楢葉町においては、復興と地方創生は同じ意味を持つもと捉えているところであり、今年1月に議会においてご承認をいただきました、楢葉町復興計画第二次(第二版)において示しました、帰町目標である平成29年春に向け、町内の生活環境の整備に全力で取り組み、町の「復興・創生元年」としてまいる決意であります。

 以上、申し上げたことを踏まえ編成した、平成28年度予算案において取り組む主要な事業について、町復興計画の施策区分に従ってご説明いたします。
 まず、「暮らしやすさを追求する」取り組みであります。 町内での買い物環境を確保するため、コンパクトタウン内に整備する商業共同店舗の建設に着手いたします。
 コンパクトタウン内の中満南地区災害公営住宅123戸を、平成29年3月までに入居希望者への引き渡しが行われるよう、整備を進めてまいります。
 また、既存の町営住宅につきましても引き続き修繕を進め、完了後速やかに入居できるよう準備を進めてまいります。
 町に帰町された方の地域コミュニティ再生の中核となる各行政区の集会所の復旧工事を進めてまいります。 平成29年春からの町内での学校再開の準備を進めるため、教材や備品の購入を進めるとともに、コミュニティセンターや総合グラウンドの設備改修と、屋内体育施設の設計に着手し、生涯学習とスポーツ環境の再生を図ってまいります。

 次に、「これまで・現在とは違う新しさを目指す」取り組みであります。
 町の基幹産業である農業を再生し、戦略的に営農再開を進めるため、稲作経営の効率化に不可欠なカントリーエレベータ施設の整備を行い、南双葉地域の稲作の中核となることを目指します。また、酪農の実証を始めるほか、農地の保全管理を引き続き行い、町の原風景を取り戻してまいります。
 町内外の住民との交流人口の拡大を図るため、コンパクトタウン内に地域交流館の整備や、天神岬スポーツ公園の整備を進めてまいります。
 サマーフェスティバルやあるこう会などを開催し、町民と町外の交流を図り、観光客等もともに楽しみ、楢葉の魅力を感じることのできるイベントを開催いたします。

 次に、「更なる安全・防災を目指す」取り組みであります。
 町内での車両通行量の増加に対応し、強靱な道路ネットワークの確保を図るため、木屋小六郎線をはじめとした町道の道路改良並びに整備を進めます。
 帰町された町民が安全に、安心して生活をできるよう、緊急通報システムの貸し出しや防犯灯の追加整備、特別警戒隊によるパトロール事業も継続して実施してまいります。
 防災体制を強化するため、消防屯所や防災行政無線の災害復旧を進めてまいります。

 次に、「絆を保ち、被災生活を乗り切る」取り組みであります。
 町が配布しているタブレット端末にタイムリーに情報を配信する「きずな再生電子回覧板事業」を継続して運用するとともに、4月以降、同じ機能を持つアプリケーションを提供し、個人で所有しているスマートフォンを活用してより幅広い層に情報配信を行うことで、町の状況を正確に理解していただくよう普及に努めてまいります。
 仮設住宅等にお住まいの方の円滑な帰町に向けた支援を行うため、生活支援相談員を配置することにより、相談体制を強化してまいります。
 今年9月は町制施行60周年の節目となりますので、町を挙げて記念式典を開催し、多くの町民とともに祝い、そして絆を強めてまいります。

 最後に、「安心して暮らせる環境を作り出す」取り組みであります。
 放射線モニタリングの実施や仮置場の監視等を引き続き行い、町内の環境放射線量や町民の追加被ばくの低減に向けた取り組みを継続してまいります。
 町内での生活を再開される方が増えていくことにあわせ、衛生環境を確保するため、そ族昆虫駆除事業を実施するとともに、イノシシ等有害鳥獣の駆除も継続して実施いたします。
 自家用飲料水の安全を確保するための補助事業を引き続き行います。
 以上、平成28年度予算案の主要な施策について申し上げました。

 さて、来年度は、9月1日をもって、竜田村と木戸村が合併し、楢葉町として町制が施行されてから60周年の節目の年を迎えることとなります。双葉地域に一時の豊かさをもたらした原子力発電所は、一つの事故により先人達が築いてきたふるさとを喪失する危機にまで追い込みました。しかし、必ず楢葉町を復活させる、という人々の強い思いと英知が結集されたからこそ、ふるさと楢葉を現在の姿まで取り戻すことができたと確信をいたしております。
 未だ多岐にわたる課題が山積しておりますが、町の再生を諦めることなく復興という一筋の光をともに見据えてきた町民の皆様に対して、心からの敬意を表するとともに、60年を数える楢葉町の歴史と伝統をしっかりと次の世代に引継ぎ、楢葉町民としての誇りと生きがいを持って生活が送ることができるよう、誠心誠意、取り組んでまいる所存であります。
 議会議員の皆様には、平成24年4月30日の町長就任以来、任期中は町政各般にわたり深いご理解とご協力をいただきましたことに、心から御礼を申し上げますとともに、今後ともふるさと楢葉の復興、再生に取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。

このページに関するお問い合わせ先

総務課

〒979-0696 福島県双葉郡楢葉町大字北田字鐘突堂5-6
電話:0240-23-6100

お問い合わせ